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著者 書名 刊行年 刊行国 出版社
2004120005 恩田陸 Q&A 2004 日本 幻冬舎

評者:発起人    評価:6   読了日:2004/12/10   公開日:2004/12/10

質問と答え(Q&A)だけでできた小説

 

 2002年2月11日午後2時ごろ、都内郊外の大型商業施設Mで発生した大惨事、死者69名、負傷者116名を数えた。それなのにその原因が特定できない。毒物?火災?それともパニック状態のなかでの圧死・窒息死であって、特定の原因はなかったのか? 

 この悲劇にいあわせた人や関係者への質問と答えだけから成り立っているこの恩田陸(おんだ・りく、1964-)の小説、徐々に実際に何があったのかを明らかにしていく。

 しかし数千人もの人たちがその場にいあわせ、事故が発生後は消防・警察・医療・報道などの関係者、家族たち、そして野次馬が殺到したのである。質問をされる人もその一部しか体験していないし、何も見ていない人もいるのである。このようなパニック時にはもちろん携帯電話は使えなくなる。

 はたして、この事件の真相は明らかにできるのか?

 私たちは毎日のニュースでこの小説に描かれたような事件・事故についてもうすでにいやになるほど見聞きしている。自身が巻き込まれない限り、長い間関心を持ち続けることはほとんどない。週刊誌やテレビの、結局は検証されないことの多い報道にもうんざりしている。

 この小説での「真相」もさもありなんとは思うが、結局最終的な解決には程遠いところで止められている。しかし事件というものは直接の被害者や遺族だけを巻き込んで終りということは無く、真相究明の活動自体がさらに大きな波紋を周囲の人たちにひろげていくのである。

 忘却してはいけないことを忘却し、忘却したほうがいいことをいつまでも覚えている傾向のある私などは肝に銘じなければいけないと思う。この小説はどちらか?これは読者一人一人の判断であろう。


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