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著者 書名 刊行年 刊行国 出版社
2004110006 山田風太郎 おんな牢秘抄 1960 日本 角川文庫

評者:発起人    評価:8   読了日:2004/11/16   公開日:2004/11/16

「姫君お竜」が「男がつくった世の中」の悪を暴き出す、痛快推理時代アクション小説!

 

 膨大な小説群を残した、山田風太郎(やまだ・ふうたろう、1922-2001)のこの作品、舞台は八代将軍・徳川吉宗の治世の江戸。名奉行と謳われた南町奉行・大岡越前守が江戸の治安を預かっていた。

 越前守の娘、霞は同心・巨摩主水介(こま・もんどのすけ)と恋仲だが、主水介は身分の違いにこだわって、なかなか越前守に打ち明けられないでいる。霞は奉行所で出くわした、女泥棒、「姫君お竜」の話を聞いて、その生い立ちに同情し、父である越前守に無罪放免を願い出る。

「天下のお仕置は、みんな、荒々しい、かた苦しい、もののあわれを知らぬ男たちがきめたことです。あたし、ずいぶん男の身勝手だと思うことがあるわ。」(p21)と「男がつくった世の中」の裁きに反発を感じているのである。

 越前守は、現在小伝馬町のおんな牢に収容されているやがては死刑ほぼ確実の6人の女囚の調書を霞に見せて、法とは何かをわからせようとするのだが・・・。

 しばらくして、小伝馬町の「おんな牢」にひとりの新入りが入ってきた。「武州無宿お竜、十九歳」と名乗るこの新入り、伝統の牢内のリンチやいじめも見事にかわして、いつのまにか牢内の信頼を得ていく。女囚たちはこの「お竜」の前では、心の奥底に秘めたことを話さずにはいられなくなる。

 「お竜」は女囚6人が犯人であると思われている事件をひとつひとつ解決していく。その推理の鮮やかさは本格推理小説の探偵たちも真っ青である。また身を挺して危険にも動ぜず、しかもお姫様のような美しさを保ったまま、真犯人たちと対決していくのである。

 しかし、この作品、単なる「お竜」を探偵役としたいわゆる連作推理にはとどまらないのである。謎が重なりあい、やがてこの作品全体を貫く大きな謎の解明、フィナーレに向かって読者をぐんぐん引っ張っていく、この仕掛けが見事である。

 陰惨な事件や拷問が当たり前の取調べのある牢の描写があっても、この主人公「お竜」のキャラクターで全体を明るくしている。また、説教臭が無く、「日本人とは何か」とか考え出して、小説かエッセイかわからなくなることも無い。

 私は、山田風太郎を読むのは、この作品が4作目であるからえらそうなことは言えないが、もっと読まれていい作家だと思う。


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