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感想文番号 |
著者 | 書名 | 刊行年 | 刊行国 | 出版社 |
| 2004110002 | 雫井脩介 | 火の粉 | 2003 | 日本 | 幻冬舎文庫 |
評者:発起人 評価:10 読了日:2004/11/5 公開日:2004/11/5
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おいっ、逃げろっ!いい加減気づけっ!と登場人物に呼びかけてしまう大傑作サスペンス!
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いくら、幻冬舎から出ているからと言って差別してはいけない。出版社があざとい商売が好きだからと言って、作家までがそうであるとは限らないのである。 雫井脩介(しずくい・しゅうすけ、1968-)の『火の粉』、私が読んだ文庫版の帯には映画化テレビドラマ決定!!とある。実は私が手を伸ばしたのもこの映像化によるアクセス向上効果を期待しての不純な動機からなのだが、いやー、参りました、これは!脱帽です。 これだけの面白い作品、そりゃ映画にもドラマにもしたくなるだろうし、スポンサーもつくよ、きっと。 とにかく、これはすぐに本屋さんに行って買って読んでみよう!あらすじは面白すぎるので、ここには書かない。本を読む楽しみを奪ってはいけない。 テーマは、いろいろあるが、「人が人を裁くこと」、より特定すると誤審や冤罪の問題がまずひとつ。もうひとつは、隣人というもの、あるいは社会・コミュニティに受け入れられるとはどういうことかということ。三つめには、幼児教育時に母親が感じる愛情や悩み、老人の自宅介護にかかわる「嫁」の苦悩・誇りなど家庭の中の女性の問題、もっと広く家族とは何かという問題。 いや、これらはテーマというか背景なんだね、あくまでも。 こうした、誰にでも起こりうる(あるいはいろいろな事件の報道に接してすぐに感情移入できる)問題を背景にして、分裂した世の中の意見のどちらにも組せず、しかし元裁判官の梶間勲一家に迫り来る変事・恐怖を描いて、ページをめくる手を止めさせないのである。そして、節度を保った気取りの無い文体が、多角的な視点の保持とあいまって、読後感をさわやかなものにしている。 2003年に出版された本書、該当する「このミステリーがすごい!2004年版」(つまり今のところ最新版)を引っ張り出して見ても、ベスト10どころか、ベスト20にも入っていない。伊坂幸太郎『重力ピエロ』が3位(!)なのに、何故この大傑作は入っていないのか?これはひょっとして、「このミス」のミス歴代1位に入るようなことかもしれない。 タイトルの『火の粉』とはどういう意味か?それも読んでのお楽しみ。ちなみにピノコはブラック・ジャックの助手兼自称「奥タン」である。 |