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著者 書名 刊行年 刊行国 出版社
2004100008 モーリス・ルブラン 奇岩城 -ルパン傑作集 V- 1909 フランス 新潮文庫

評者:発起人    評価:6    読了日:2004/10/26    公開日:2004/10/26

ルパンに挑む天才高校生イジドール・ボートルレ−歴史の謎を秘めた「奇岩城」とは?

 

 世紀の大怪盗、アルセーヌ・ルパンに今回挑むのは、天才的ひらめきと勇気を持った高校生イジドール・ボートルレ。高校生であるから、日本の工藤クンと同じであるが、もちろんフランスの高校生であるから変装などもお手のもの、すでに100年近くも前に発表された作品の登場人物であるとは思えないぐらいマスメディア(この当時は新聞ですね)の扱い方もうまい。

 しかし、変装やメディアの利用という点では、やはり本当の姿は本人さえ知らないのではないかというアルセーヌ・ルパンのほうが一枚も二枚も上である。

 ド・ジェーブル伯の居館から盗まれたルーベンスの絵画、しかし伯爵の姪、レイモンド・ド・サン-ベラン嬢が勇敢にも撃った賊の男の姿はこの館の敷地から忽然と消えうせた。新聞記者に紛れ込んでこの館に入り込んだボートルレが謎を解明していくが、やがて発見されるルパンとおぼしき死体、そして後で誘拐されたレイモンド嬢と思われる死体。もちろんルパンがこんなところで死ぬわけはない。

 フランス国家の、そしてルパンの力の源泉を秘めた謎を巡ってのボートルレの捜査が、暗号解読をからませて進む。しかし、行手にかならず現れるルパンの影。いったいルパンの真のねらいは何か?

 徹底的にコケにされるイギリスの名探偵、シャーロック・ホームズとパリ警視庁のガニマール警部はルパンの一味にいともたやすく誘拐されてしまう。解放された後のホームズはしかし、何という役を割り振られているのか?こんな卑劣な男だったのか、ホームズは!

 しかし、さすがにコナン・ドイル(1859-1930)と同時代を生きた作者モーリス・ルブラン(1864-1941)、シャーロック・ホームズはHerlock Sholmes という名前で登場させられているらしい。訳者の堀口大學先生は注を入れたあとに本書では「シャーロック・ホームズ」とすると書かれている。うーむ、しかしこれではまるで金田一耕助を今田一恭介とするようなものであり、御手洗潔を北来三次とするようなものである。ルブランがさんざん挑発したのにドイルは相手にしていなかったということか。

 この作品、暗号の謎以外は、どちらかと言えば、映像化に適しているような気もする。でもやはりルパンもホームズも自分のことを「わし」と呼ぶのがつらい。ボートルレは?「僕」と呼んでいます。


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