感想文番号

著者 書名 刊行年 刊行国 出版社
2004100005 星新一 ブランコのむこうで 1971 日本 新潮文庫

評者:トゥティッキ    評価:10   読了日:2004/09   公開日:2004/10/16

シンプルなファンタジー・・・ほっと一息つきたい人に・・・

 

 星新一といえば、SFのショートショートの第一人者として有名な作家ですが、長編のファンタジーも書かれていたのは知りませんでした。

 ファンタジーといえば、魔法使いとか妖精やモンスターが出て来るイメージがありますが、これには、まったく出てきません。でもファンタジーなのです。

 一人の少年がちょっと不思議な夢の世界に迷い込み、冒険をするのです。少年の子供らしい純粋さ、優しさが描かれていて、心温まる懐かしい感じがします。

 ファンタジーの世界が苦手な人にも入っていきやすいかもしれません・・・。

 少年が出会った夢の中の人がいいます。

「ここには美があるんだよ。あこがれと呼んだほうがいいかな。目がさめてから、人は現実とくらべてみる。そして、まわりの川の水や空気がよごれているのに気づき、これじゃいけないと思うわけだよ。人が夢の世界を持っていなかったら、現実に対してなんの批判もしなくなり、ただただ現実に押し流され、ずるずるとだめになってゆくだろうね。時にはこの夢の国が、一時的にものすごくひどい状態になることもあるが、その場合は目がさめてから、ああなってはいけないんだなと知るわけだよ。いずれにせよ、現実の世界は、それぞれの人の夢の世界で支えられているともいえるんだよ」(p37)


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