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著者 書名 刊行年 刊行国 出版社
2004100002 竹内薫 世界が変わる現代物理学 2004 日本 ちくま新書

評者:発起人    評価:6   読了日:2004/10/05   公開日:2004/10/05

「モノ」から「コト」へ 物理学から事理学へ!−現代物理学の思想をわかりやすく解説

 

 とにかくタイトルに物理学という言葉が入った本を読むのはほんとうに久しぶりである。高校時代に「物理T」とか「物理 U」の教科書を読んで以来かもしれない。いや正直に言うと、そんな本は実は読んでいなかった。ときどき机の上に(主に教室で)広げていただけである。

 にもかかわらず、この本は物理学、とくに現代物理学の本なのである。特にその根底にある思想に焦点を絞った本である。

 現代物理学は、私たちがそれを当然のことだと思っていて普段は考えない世界観に根本的な転換を迫っている、らしいのである。

 ひとつは、世界・宇宙が「モノ」から成り立っているという世界観である。

 世の中のすべての物質は分子からできていて、その分子も原子からできている。いや原子も実は原子核・陽子その回りを飛んでいる電子などというやつもいる。それぐらいは、観測できるし、まあはやい話、ジンタンみたいなものをもっともっと小さくしたようなものだろう?

 うんうん、わかってるよ。それより小さい粒々があって、それが素粒子と言われていることもな。まあそれがいったい俺に何の関係があるのかとは思うのではあるが。

 しかし実はそんな単純なことでは無かったのである。そのような素粒子は「粒」では無く、「粒」のくせに「波」の性質があり、その上、「複素数」の世界の住人であり、現れたり消えたりし、しかも確率論的にしか把握できないのである。観測者や観測機器との組み合わせで結果が変わるという性質がある。(=「コト」的性質)

 さらに、ニュートンなどが前提としていた絶対的な時空間は、アインシュタインでは「歪み」、現代物理学では「時空の泡」として理解されていると・・・。

 現代物理学(「超ひも理論」とか「ループ量子重力理論」)は「現実」と「虚構」という区別が意味を失う世界像(「物理学のSF化」)を提示している。「インターネット」のようにお互いの関係(ノードとリンク)だけで成り立つ(=「コト」的世界)ネットワーク的世界像である。

 著者の竹内薫(たけうち・かおる、♂、1960-)はサイエンスライターで別名で小説も書くという。この本の中にも短い小説が挿入されている。

 数式は出てこないので私のような文系にはピッタリ、だがどうも隔靴掻痒の感は拭い去れないのである。私が履いている靴があまりにも分厚いせいであるのは言うまでも無い。


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