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著者 書名 刊行年 刊行国 出版社
2004100001 アイザック・アシモフ 黒後家蜘蛛の会 1 1974 アメリカ 創元推理文庫

評者:発起人    評価:7   読了日:2004/10/01   公開日:2004/10/01

男たちだけの密かな愉しみ - 黒後家蜘蛛の会へようこそ!

 

 いや、別に男だけで集まって、怪しいことをしているわけではない。かと言って何か意義のあることをしているわけでもない。おいしい食事と酒、気のおけない6人の会員の間で繰り広げられる会話と議論(ときには悪口の応酬ということもあるが)。

 毎月の例会には必ずひとりのゲストが招待され、ゲストは自らの謎・疑問・悩みをデザートとコーヒーの後で語らなければならない。会で話されたことは秘密である。

 メンバーは特許弁護士のジェフリー・アヴァロン、暗号専門家のトーマス・トランブル、作家のイマニュエル・ルービン(この男が実際の作者=アシモフを戯画化して描いているのかどうかは不明である)、有機化学者のジェイムズ・ドレイク、画家のマリオ・ゴンザロそして数学者のロジャー・ホルステッド。

 それぞれの分野で成功しているのか、失敗しているのかはわからないが、この6人の男たちは、それぞれすべてについて何らかの意見を述べ推理を働かせる。しかし、ゲストの提示する謎はなかなか解けない。

 最後に真相に到達するのは、この会専属の給仕、ヘンリーである。6人プラスゲストの話を聞き、おもむろに、控えめに、しかしまさにこれしか無いという論理的結論を与えるのだ。

 謎は、ゲストが多様であるだけにさまざまである。また発表の時代を反映して「ペンタゴンペーパー」とか「中国の国連加盟」などという時事ネタを知らないとイマイチわかりにくいものもある。さらに欧州文学や聖書の素養があればさらにおもしろいだろうと思う事件も多い。

 しかし、そういう細部がわかりにくくても、この読んでいて感じる心地よさは何だ?

 訳者の池央耿(いけ・ひろあき)の解説によると、黒後家蜘蛛(black widower)とは、アメリカに分布し、「姿はきわめて美し」いが、ガラガラヘビより強いとも言われる猛毒を持つ。しかしこれは雌だけの特性で、雄は体も小さく、毒も無く、交尾のあとには雌に食べられてしまうという。

 いや、別に女性を差別しているわけでは無く、あくまでもSF界の巨匠でもあるアイザック・アシモフ(1920-1992)がそういう題名をつけたのである。(現在公開中の『アイ、ロボット』の原作者もこの人である。)また、この会は女人禁制ではあるが、女性の悪口を語り合う場では無い。

 本書には12の物語が収められている。私としては冒頭の「会心の笑い」、6番目の「明白な要素」が特にお奨め。

 さあ、これも『2』(1976)に突入するか?えっ全部で5冊もある?


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