感想文番号

著者 書名 刊行年 刊行国 出版社
2004080001 J. K. ローリング ハリー・ポッターと秘密の部屋 1998 イギリス 静山社

評者:発起人    評価:8   読了日:2004/08/02   公開日:2004/08/02

ミステリー色は濃くなったが・・・単純な善悪二元論が目立つハリ・ポタ第2弾

 

 今や、映画第3作が公開中で、9月には本の第5作の日本語版が発売される超人気の『ハリ・ポタ』シリーズ、やっと第2弾を読破した。思えば第1作、『ハリー・ポッターと賢者の石』(1997)を読んでからでももう1年以上経っている。(去年は引きこもっていたので、この重い本も気にならなかったが、今年はこのノートパソコン並みの本、電車で読むのは疲れたし、周りの人たちに迷惑をかけたに違いない。)

 この調子では第3作の映画に家族に連れていってもらえないな。でもこの第2作も私は映画は見に行ったはずなのに、本を読んでみると、記憶から欠落しているところが、特に最後のヤマ場のシーンを中心に多くあるのに気づいた。あー、私はこの名作映画を見ながら不覚にも居眠りをしてしまっていたのだった。

 前作で魔法学校ホグワーツに入学した、魔法界の「シンデレラ・ボーイ」、ハリー・ポッターは、闇の魔法界のボス、「名前を呼んではいけないあの人」、別名ヴォルデモートの攻撃を打ち破ったのである。

 ハリー・ポッターはめでたく2年に進級するはずだった。

 しかし、ハリー・ポッターが学校に戻るのを妨げようとする者たちがいて、ようやく学校に辿り着いたものの、ハリーと仲の良いロン・ウィーズリーやハーマイオニー・グレンジャーたちを待ち構えていたのは、生徒たちを襲撃し、石に変えてしまう邪悪な者の存在だった。

 ホグワーツに伝わる「秘密の部屋」が開かれ、閉じ込められていた何者かが出てきたのか?それを操るのは誰か?ハリーが実は闇の魔法の継承者なのか?この疑いを晴らし、犠牲者を増やさないためには、ハリーは自分で真相を突き止め、敵と戦わなければならない。

 作者のJ. K. ローリング(1965-)はこの第2作では、前作以上に魔法の世界の細部を描いて、読者はホグワーツでの学校生活と不思議な授業や生き物(幽霊なども含めて)たちに魅了される。

 また、私が映画では寝ていた、ハリーと敵との対決シーン、そこに至るまでの謎解きなど、読みどころ満載である。

 しかし、しかしである。うーん、ちょっとこの第2作では善悪二元論、そしてその根拠として前提とされている「血」という問題が容赦無く描かれすぎていないか?つまり善の側には、ハリーとその仲間、ダンブルドア校長などがいる。そして、悪の側には、生徒ではドラコ・マルフォイとその取り巻き=スネイプ先生などがいる。

 問題はこの善悪が「血」によって根拠づけられているように見えることである。そして善は美と悪は醜と結びつけられている。うーむ、そしてハリーもまた自分が実は悪の系統の魔法使いではないのかと悩むのである。

 私の杞憂であればいいのだが、またそんなに考え込まなくてもいいのかもしれないが、「血」が問題なのであれば、善・悪どちらに転んでもそれは本人の責任では無いはずである。

 ダンブルドア校長は、ハリーにこう言っているのである:

「ハリー、自分がほんとうに何者かを示すのは、持っている能力ではなく、自分がどのような選択をするかということなんじゃよ」(p489)

 これをいちおう「血」による決定論を作者が否定しているものだと受け取っておこう。

 作者は最終的にどのような回答を用意しているのか?ハリーの「血」をめぐる秘密が解き明かされるのはいつなのか?

 さて映画に連れていってもらう前に、少なくとも第3作は読んでおきたい。おーい、ハリ・ポタ3、貸してくれ〜!→子供への呼びかけです。


作家別一覧:  1 2 3 4 5 6 7 8

刊行年別一覧: 1 2 3 4 5 6 7 8

Home