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感想文番号 |
著者 | 書名 | 刊行年 | 刊行国 | 出版社 |
| 2004070009 | エド・マクベイン | キングの身代金 | 1959 | アメリカ | ハヤカワ・ミステリ文庫 |
評者:発起人 評価:8 読了日:2004/07/19 公開日:2004/07/19
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誘拐犯罪を描き切った87分署シリーズの傑作
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ほぼニューヨークを模したと思われる架空の都市、アイソラの87分署が取り組む事件を描いた有名シリーズの第10作。(私は第1作から第6作まで読んだが、7-9作は飛ばしたことになる。) 作者のエド・マクベイン(1926-)の視線は複眼的である。実際に捜査を行う刑事や警察官、犯罪者、被害者のそれぞれの視線を通じて、ひとつの事件を、そしてそれを通じて現代アメリカの大都市の様相を浮かび上がらせる。 あえて一人だけ主人公を選びだすとすれば、犯罪に敢然と立ち向かうスティーヴ・キャレラであるが、ああ、そうだ、これは昔の「太陽に吼えろ」や「西部警察」のように、それぞれの回にゲスト的なスターがいるという、テレビの刑事ものというスタイルである。あるいは、マクベインがこういう手法を確立したと言えるのかもしれない。(実際に87分署シリーズはテレビドラマ化されているようだ。) とは言ってもまだこの『キングの身代金』(1959)時代のアメリカは現代の眼から見るとかなり牧歌的ではある。最近の小説のように何の葛藤も無しにすぐ殺すような連続殺人では無い。 しかしながら、子供の誘拐は、今も、昔ももっとも卑怯・卑劣で忌むべき犯罪だと考えられている。出来心の誘拐というのはありえない。必ず犯行は計画的である。 今回の誘拐事件も当然犯人側は周到な計画を巡らせている。そして87分署、警察も最新の捜査手法を使って犯人側の意図と計画をつきとめ、子供の解放と犯人逮捕に全力を挙げようとする。被害者の側に対立・葛藤があり、犯人側も一枚岩では無い。警察側もキャレラのような献身的で勇気のあるすぐれた刑事ばかりでは無いのである。 さて、どうなったか?これは読んでのお楽しみ。展開も結末も飽きさせない、さすがマクベインである。 なお、この作品は黒沢明監督の『天国と地獄』(1963)の原作としても知られている。(ビデオ借りて見てみなきゃ。) |