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著者 書名 刊行年 刊行国 出版社
2004060004 アントニイ・バークリー ピカデリーの殺人 1929 イギリス 創元推理文庫

評者:発起人    評価:6    読了日:2004/06/11    公開日:2004/06/11

曲者バークリーの秀作−マニアで無い人も十分楽しめます

 

  英国本格推理の黄金時代に活躍した、アントニイ・バークリー(1892-1971)の作品である。とは言っても、ミステリーが好き!という最近の読者にはどうなんだろう?

 かなりマニア度の高い作家になってしまっているような気がする。しかし、マニアにとっては、バークリーも読まずして、ミステリを語る勿れというような雰囲気が漂っているような気がするぞ。

 私のように中間層の居場所が無いではないか。世の中、大学のミステリ研にいたような人とミステリーと言えば、宮部みゆきとか東野圭吾かな〜等と思っている人の2種類しかいないわけではないのである。たまには、古き良き時代のミステリーも読んでみようというような私のような読者もいるのである。

 さて、前置きが長くなってしまったが、この『ピカデリーの殺人』(1929)、私の感想は、うー、ちょっとこれキレが無いなあ。うーん、冴えが無いなあ、という感じではありました。

 探偵役は、年老いた伯母さんと二人で住んでいる、アマチュア「犯罪研究家」にして「切手蒐集家」であるアンブローズ・チタウィック氏である。探偵と言っても、あのホームズ様や颯爽としたエラリー・クイーンとは違って、伯母さんに頭の上がらない、はなはだうだつの上がらない独身中年男なのである。

 そのチタウィックが、伯母さんの用事を頼まれて、ロンドンに行き、たまたま、ピカデリー・パレス・ホテルのラウンジに喉の渇きをいやすべく立ち寄ったことから事件に巻き込まれてしまう。このホテルは、「ロンドン子にとって、・・・そこのラウンジにしか存在しないのである。」(p7)と書かれているだけあって、うーん、一昔前のデパートの地下の食堂みたいなもんかって、それも最近は無くなってるからわかりにくいが、とにかく「きわめて多様な人々を集め、予期せぬ出会いをもたらす」(p8)場所なのである。(ほんとうにあるのかどうかは知らないが、ピカデリーがロンドン有数の繁華街であることは周知の通り。)

 なんとチタウィック氏は、赤毛の人相の厳しい男が上品そうな老婦人と席につき、男がその老婦人の飲み物に何かを入れるのを見てしまったのだ。そして、しばらくチタウィック氏が間違い電話で呼び出されて戻って見ると、男は消えていて、老婦人は昏睡状態、いやなんと死んでいたのである。青酸による毒殺である。

 知り合いのロンドン警視庁(スコットランド・ヤード)のモーズビー警部に電話をして、自らの目撃情報を提供して、単純な自殺事件で片付けられるところを救ったチタウィック氏は得意の絶頂であった。間もなく老婦人の身元が莫大な財産を持つシンクレア夫人(未亡人)であったことが判明、財産を相続するはずの甥のシンクレア少佐が、そうあの男だ、チタウィック氏の証言に基づいて逮捕される。

 ところが、どっこい、そんなことでは事件は解決しないぞ。

 まあ、読んでのお楽しみだが、なんとなくこのチタウィック氏、鋭い論理の持ち主だが、作者の自己批評のようなところがあるのか、憎めない人物である。

 しかし、はじめてバークリーを読もうという人には、この作品では無く、『毒入りチョコレート事件』ぐらいから入ったほうがいいのではないかと思います。『第二の銃声』を読んでいない私が言うのも、僭越ですが・・・。 


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