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感想文番号 |
著者 | 書名 | 刊行年 | 刊行国 | 出版社 |
| 2004050009 | 浅羽通明 | アナーキズム | 2004 | 日本 | ちくま新書 |
評者:発起人 評価:7 読了日:2004/05/28 公開日:2004/05/28
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アナーキズムにはスーパーライトもご用意してあります。
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私にとっては、小林よしのりの漫画に登場していたのを眺めた記憶のあるだけの浅羽通明(あさば・みちあき、1959-)がアナーキズム(著者が引用している広辞苑の定義では、「一切の権力や強制を否定して、個人の自由を拘束することの絶対にない社会を実現しようとする主義」)の名著とそれらに登場する思想家たちを紹介した本。 取り上げられているのは、しかし大杉栄や埴谷雄高(はにや・ゆたか)などの狭義の(自他ともに認める)アナーキストだけでは無い。(埴谷雄高の場合はオタク・ひきこもりの元祖であるなどという面も紹介されている。) 冒頭にはいきなりパンクロックバンド、セックス・ピストルズの「アナーキー・イン・ザ・UK」(聞いたことない)とジョン・レノンの「イマジン」の訳詩が掲げられていて、前者を「行動的アナーキズム」の後者を「啓蒙的アナーキズム」の典型であると述べている。 任侠美学や京都の「千本組」と映画制作集団。ベルグソン哲学の「創造的進化」などに影響を受けた今西錦司などの「生命主義者」。日本の農村に国家権力に対抗する視点を求めた権藤成卿(知らなかったよ)。 さらには、保守主義者である勝田吉太郎などが単にマルクス主義の敵としてだけではなく、アナーキズムに深い思い入れを持っていたことを紹介し、欧州の「千年王国」思想と日本の弥勒信仰の類似点と相違点を探り、コスモポリタン(といってももちろん雑誌の名前ではありませんからね)鶴見俊輔の思想やアニメ化された松本零士の『宇宙海賊キャプテンハーロック』、笠井潔の「アナルコ・キャピタリズム」等々、「自由の原理主義」である「アナーキズム」的要素・考え方を広く渉猟して、コンパクトにまとめている。 一切の権力や権威を否定し、個人の自由に絶対の価値を置くアナーキズムは、その思想を実現しようとするための権力をも否定するため、ほとんどの実践が失敗に終わってしまったのは歴史的事実である。しかし、使える部品は残っていないのか? 「・・・「道具としての思想」のカタログこそが需要されているのではないか。」(p286)と著者は述べているが、カタログにそのまま載せるにはあまりに過激な、あるいは原理主義的な「アナーキズム」の本家本元の思想家は簡単に、保守主義者やアニメ・オタクにも受け入れられるようなスーパーライトなアナーキズム度0.1mgほどのものを中心に編集されている。 毒も薬も使いよう、思想も状況に応じて使い分ければいいんですという感じの本になっている。 そういうものなんだろうか?それでいい気もするのであるが、この著者がこの『アナーキズム』と同時に『ナショナリズム』という本を同じちくま新書から同時に出版しているところなどが、うまくバランスを取っていこうという評論家業界の処世術のようなものが感じられて、ちょっと「いやな感じ」なのである。「仕切る」という言葉の多用も気になった。 |