感想文番号

著者 書名 刊行年 刊行国 出版社
2004030001 村上龍 69 sixty nine 1987 日本 集英社文庫

評者:発起人    評価:6    読了日:2004/03/01    公開日:2004/03/01

村上龍なのに・・・素直な青春グラフィティ

 

 九州の西の端、米軍の基地のある佐世保北高2年生だった「僕」(ケン、矢崎剣介)は、ちょっと目立ちたがり屋だが普通の(?)高校生だった。

 当然興味があるのは女の子のこと、そして将来自分がどのような大人になっていくのかということである。

 しかし、この年、1969年の時代の雰囲気はこの田舎の高校生にも大きな変化を与えていた。ベトナム反戦、ロック、「愛と平和」、ヒッピー、大学・学園闘争等々、世界中で若者の体制への反抗がひとつのピークを迎えた年だった。

 あこがれの「レディ・ジェーン」、松井和子という美少女にもてるには目立たなければいけない。「僕」は雑多な仲間を組織し、高校のバリケード封鎖(バリ封)を企画する。スローガンは「想像力は権力を奪う」!深夜校舎に忍び込み、屋上への階段を椅子・机で封鎖、屋上からの垂れ幕、落書、作業を終えると撤退し、匿名でマスコミに電話をかける。細かい不手際はあったが、計画は成功したかに見えた。しかし・・・。

 村上龍(1952-)なのに、ずいぶん素直なのである。ヘンな気取りが無いのである。また苦吟しながら文章をひねり出すようなところが無く、気負いもなく、ただただあの時代を生きた自分と自分たちの仲間の高校時代の1年を楽しく描いているように感じられる。

「これは楽しい小説である。

こんなに楽しい小説を書くことはこの先もうないだろうと思いながら書いた。」

と「あとがき」で書かれている通りである。

 村上龍作品なのに村上龍らしくなく、しかし村上龍の核が剥き出しになっていると言えようか?その核とは何か?あー、それを言うと角が立つので、未読の方は読んでみてください。それにしても村上龍には高校生のころから企画屋というかプロデューサーというかそんな才能があったようである。(しかし、この作家、猪瀬直樹ほどではないが、どうしてこう写真では不機嫌そうな顔をしているのか?)

 宮藤官九郎が脚本を書いて映画化され、「2004年春全国東映系公開」と私が読んだ文庫版の帯には印刷されているがどうなったんだろう? 


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