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著者 書名 刊行年 刊行国 出版社
2004020003 モーリス・ルブラン バーネット探偵社 -ルパン傑作集Z- 1928 フランス 新潮文庫

評者:発起人    評価:5    読了日:2004/02/08    公開日:2004/02/09

大怪盗が経営する探偵社と事件を解決してもらう警部の名コンビ

 

 モーリス・ルブラン(1864-1941)が創造した洒脱で魅力的な大怪盗アルセーヌ・ルパン、私が小学生低学年ぐらいのときはホームズや明智小五郎と人気を分けた英雄のひとりだった。その後日本ではルパン3世というアニメのヒーローも誕生したりして小説はあまり読まれなくなっているかもしれない。

 ルパンはもちろん財宝や美術品、美しいもの、珍しいものを盗む。しかも警察の鉄壁の警戒態勢をいとも簡単に痛快にくぐりぬけて予告どおりに盗むのである。だがルパンは真の悪党たちには警察に協力してまでも立ち向かう。また決して殺人をしない。ホームズのような理詰めの推理より、手下(仲間)を使って大掛かりな見せ場を作る。どちらかというと行動派である。

 しかし、ホームズの小説にルパンは登場しないが、ルパンものにはホームズが戯画化されて登場し、ルパンに手玉にとられてしまうのである。この点はやはり後発の哀しさか。

 今回、ルパンはバーネット探偵社という料金「完全無料」をモットーとする探偵社を経営(といってもひとりだが)している。保安課警部のべシューが解決できない事件を持ち込み、ジム・バーネット(=ルパン)はいとも鮮やかに論理と綿密な調査で8編の事件を解決してしまう。

 しかしそこはルパンのこと、かならず何かを報酬としていただいてしまう。それはたとえばルパンが発見しなかったら依頼人に一文も手に入らない遺言状と引き換えの貴重な宝石であったり、王族の恋愛に関係する貴重な手紙であったりする。

 べシューは警官の良心がとがめるのだがなにしろルパン=バーネットの助力が無ければ事件を解決できないのだから仕方が無い。自分の虎の子の株券が盗まれたのを取り返してもらったり、元妻の女優が被害にあった窃盗事件を解決してもらったりもするのだ。

 とにかくべシューはプライドを捨てて事件解決=出世の道をルパンに託すのである。凡人と天才の違いなのか、べシューはルパンを一生逮捕できないのだ。

 しかし、この堀口大學先生の翻訳、なんでルパンは自分のことを「わし」と呼ぶのか、それさえなければもっとおもしろいのになあ。


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