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感想文番号 |
著者 | 書名 | 刊行年 | 刊行国 | 出版社 |
| 2004010005 | 綿矢りさ |
インストール |
2001 | 日本 | 河出書房新社 |
評者:発起人 評価:7 読了日:2004/01/22 公開日:2004/01/22
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バランス感覚抜群−芥川賞最年少受賞作家のデビュー作
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この作品で17歳のときにデビューし、次作の『蹴りたい背中』(2003)では芥川賞受賞最年少記録を破ってしまった綿矢りさ(わたや・りさ、1984-)。今や同時受賞の金原ひとみとともに時の人である。 一見いかにも頭のいい現代女子高生が書いたと思わせる文体だ。適度にバカっぽく装うところもそれらしいが、ときどき流れを断ち切るような文章が意図的に挿入されて異物感を感じさせるが、それが全体の印象を強めている。 登校拒否を始めた高3の「私」(朝子)は同じマンションに住んでいる小6の「かずよし」と知り合う。かずよしは「私」が捨てた旧式のコンピュータを自分の家の押入れで直し、なんと風俗チャットのアルバイトを始めていた。自分が小学校に行っている間、代わりをつとめないかと提案され、わたしは好奇心からかその世界に入り込んでしまう。「エロ」を求めてこの「個室チャットルーム」に入ってくる見知らぬ男(多分)の相手をしているうちに「私」は大人(多分)の「エロの世界」、興奮するが不気味な世界を覗き込む。 ビジネスライクに適当に相手に合わせることも覚えたころ、「私」も「かずよし」もそれぞれ母親に見つかってしまう。ふたりとも正面きってとがめたりはしないし子供たちが正確には何をやっていたのかも気づかない。が、「私」は押入れの中での風俗チャットをやめて学校に戻る決心をする。現実の、生身の人間の世界に戻る決心だ。(ふたりで30万円のバイト代も入ったしね。バイト代は風俗嬢からの下請けだったのだ。) 悩みも、「エロ」も、孤独も、みんな軽い。問題が明確に提示されることも解決されることも無いが、この風変わりな「バイト」で「私」のみじかい引きこもりも、終わるのだ。 暗くなりすぎず、軽薄にもなりすぎず、高慢にならず自己卑下もせず要するにバランス感覚抜群なのだ。うーん、それってサラリーマンへの褒め言葉だったのではと思うのは「文学」と「実世界」を截然と分ける思考方法から抜け出せない私の固定観念なのか。 それとも、ひょっとして、このしたたかな綿矢りさはその年でオヤジへの迎合術を体得しているのか? |