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著者 書名 刊行年 刊行国 出版社

2003120011

アーネスト・ヘミングウェイ 誰がために鐘は鳴る 1940 アメリカ 新潮文庫

評者:発起人    評価:10    読了日:2003/12/29    公開日:2003/12/29

世界と人生に意味はあるのか−ヘミングウェイはこの作品ではかろうじて「ある」と言っているようだ

 

 ヘミングウェイ(1899-1961)がスペイン内戦(1936-39)を舞台に戦争と生・愛と死を描いた名作。

 スペインでは1936年に選挙で人民戦線政府というのができるが、ファシスト・軍部等の支援を得たフランコ将軍が反乱を起こして激しい内戦が勃発、両派とも国際的な支援を得る。フランコ側にはドイツ・イタリアのファシスト政権が軍・兵器・弾薬を送り込む。政府側はソ連が軍事顧問団や兵器・弾薬等を、そして国際義勇兵が参戦、いろいろあって(ソ連が無政府主義者や「トロツキスト」を弾圧したりとかほんとうにいろいろあって)、最後はフランコ派が勝利を収める。ヘミングウェイは自身が人民戦線派の作家・ジャーナリストとして政府側を支援した。

 この作品では、この内戦に人民戦線側に参加しているアメリカ人のロバート・ジョーダンがいちおう主人公。ファシスト側の占領地域に潜入しその地域の共和国派のゲリラなどと協力して重要施設などを爆破する任務を帯びている。任務は厳しい、かつ受け入れ側の共和国派はもちろん一枚岩ではなく、バリバリのコミュニストからいつ裏切るかわからないような連中もいる。

 ジョーダンが今度派遣された地域にも、さまざまな連中がいて互いに反目しあい、裏切りが起こるのではないかという疑心暗鬼に陥っている。しかもすでに数年間反ファシズムの苛烈な戦いを経験してきており、仲間を虐殺されたり逆に敵を虐殺してきている。

 ジョーダンはこの地域でスペイン娘マリアに出会い、任務遂行のわずかの期間にマリアと激しい恋に陥る。

 とにかく戦争なのでたくさん人は死ぬ。いったい何のために死ぬのか?死ぬことに意味があるのか?共和国を守るためか?かといって、戦線から離れたマドリードではソ連軍のエリートたちが贅沢な暮らしを送りながら、実情に会わない戦線指導をしている。

 ジョーダンは、ファシストに陵辱され、髪を剃られようやく回復しつつあったたマリアと寸暇を惜しんで愛し合う。しかし橋梁爆破の任務は計画通りにはいかない。仲間たちとマリア、ロバートたちの運命は?

 いやあ、迫力満点。自分が死ぬときはこんなふうに感じるんだろうなという描写が登場人物たちの死の場面に感じられて、つらい。ここまで死と戦争を描ききった作品はあまり無いのではないかと思う。

 イラク戦争でこのような文学作品が生れるだろうか?それは無理だろうな。

 ちなみにこの作品をテーマにして歌ったのが和田アキ子の『あの鐘を鳴らすのはあなた』である・・・はずはない・・・とは思うが・・・わからない。


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