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感想文番号 |
著者 | 書名 | 刊行年 | 刊行国 | 出版社 |
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2003120004 |
弓削達 | ローマはなぜ滅んだか | 1989 | 日本 | 講談社現代新書 |
評者:発起人 評価:6 読了日:2003/12/14 公開日:2003/12/14
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このような問いを日本の行方と重ね合わせて考えていた頃があったんですね
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個人的にひそかに進行する新書で歴史を勉強するシリーズ(きらいな言葉だがあえて使うと「マイブーム」)!ハプスブルク家や本能寺の変、関ヶ原合戦に続く今度のテーマは大きいぞ! 著者はまず、盛者必衰の理の世の中で、ローマのみ「なぜそれを問うのか」?という問題を提出する。ローマは特別なのか?そう、それは「ローマの世界史的位置」が特別だからである(p15)。また、「ローマが作り上げた帝国と、それによって支えられた「ローマの平和」−帝国支配−によって作り出された地中海世界は、発展度の異なる諸民族・諸国家によって構成される、現代世界における支配と平和を考えるための絶好の思考実験上である」(p19)。 この本が出版されたのは1989年。日本のバブル最盛期である。著者も述べているが、「ローマ没落原因論というものは、すでにローマ時代そのものから今日まで、やや誇張して言えばゴマンと存在しているのである」(p230)。そして「いずれの没落原因論も、それぞれの論者の生きていた時代の、文明の先行き不安感を直接、間接に反映し、それへの処方箋の意味があった。」(p230-231) 西ローマ帝国が滅んだのが476年であるということを考えると本書の出版された1989年と現在2003年との時間の隔たりなどはたいしたものではないはずである。ところがこの本の表紙には「現代の超大国・日本の姿を透かし見る。」なんてコピーが印刷されている。日本をローマ帝国になぞらえていたんですね、少なくとも編集部はね。ある程度でしょうが。 さらに日米関係が日本の真珠湾攻撃50周年を迎える1991年には危機を迎えるかもしれないという「1991年日米関係危機説」(そんなのありましたね、たしか)が、この本で著者がローマ帝国衰退の学説として紹介している「中心」・「周縁」説との関係で紹介されていたりもする。 ことほどさように歴史は難しいのだ。 むしろ今この本を読んで思うのはまさに唯一の超大国になってしまったアメリカの行方である。イラクのフセイン元大統領を米軍が拘束したというニュースが報じられたが、アメリカによる平和・支配はいったいどうなっていくのかなんてことを考えてしまうのである。もちろん賢明かつ教養のある現代米国の為政者たちがローマの歴史から何も学んでいないということはありえないと思うが・・・。 さて、ローマはなぜ滅んだのか?私が理解する限りでは、いろいろあるが、「周縁」のゲルマン民族への対応を誤ったことがいちばん大きいと著者は言っているように思える。 興味のある人は、そして現代の平和・戦争の問題を考えようという人にも一読をお勧めする。爛熟したローマの文化の紹介など「へぇー!」的知識も満載である。(きらいな言葉だがあえて使うと「てんこ盛り」である。) 著者の弓削達(ゆげ・とおる、1924-)の専攻は経済史&古代ローマ史。神戸大学・東京教育大助教授、東大教授、フェリス女学院大学長などを歴任された方のようです。 |