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著者 書名 刊行年 刊行国 出版社

2003110004

江村洋 ハプスブルク家 1990 日本 講談社現代新書

評者:発起人    評価:3    読了日:2003/11/12    公開日:2003/11/12

歴史の本というか、名門王朝への憧憬の情に満ちた本

 

  ハプスブルク家−たしかに大昔学校で歴史の時間に名前を聞いたことがある。しかしその後はほとんど聞くことの無い名前だった。別にハプスブルクだけではなく、世界史には 、自慢しているわけでも、開き直っているわけでも無いが、疎いのである。

 「ローマ教皇庁とならんでただ一つの王朝だけが、汎ヨーロッパ的な性格と重要性を常に失うことがなかった。ハプスブルク王朝である。」(p5)この本の著者、 東洋大学教授でヨーロッパ文化史専攻の江村洋(えむら・ひろし、1941-)は 、この欧州の名家の歴史を、特に四人の君主、マクシミリアン一世、カール五世、マリア・テレジアおよびフランツ・ヨーゼフに絞って描こうとした。

 ハプスブルク家は宗教権力であるローマ教皇庁を守る世俗権力として出発し、20世紀のはじめまで、栄枯盛衰を経たものの生き残ったのである。もちろんハプスブルク家の始祖と言われるルードルフ一世が「神聖ローマ帝国」の皇帝となった1273年から第一次世界大戦の混乱の中で1918年にハプスブルク家の王国が崩壊するまでは600年以上も経過しているのだからもちろんいろいろな出来事があった。

 しかし、ハプスブルク家は生き残っても、読んでみて・・頭に残らないのである。これは著者のせいではなく私の頭のせいなのではあるが、何というか、うーむ、国敗れて山河あり、盛者必衰、色即是空などという気分になってしまうのである。人類の歴史というもの、これではあまりにも空しいではないか、と思ってしま ったのである。

 たしかにハプスブルク家や欧州(基本的には中東欧)の歴史が好きな人にはおもしろいのだろうが、私のような一般人にはトリビアの集積のようにしか感じられなかったのである。しかし、誰がいったか知らないが、「真実は細部に宿る」。

 せめて、ハプスブルクがドイツ語で「鷹の城」という意味であるということは忘れないで覚えておきたい。


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