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感想文番号 |
著者 | 書名 | 刊行年 | 刊行国 | 出版社 |
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2003110001 |
山崎豊子 | 白い巨塔(四)(五) | 1969 | 日本 | 新潮文庫 |
評者:発起人 評価:8 読了日:2003/11/04 公開日:2003/11/04
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続編では「正義」が勝つのか?財前の運命は?
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『続白い巨塔』(1969)として『白い巨塔』(1965)に続き発表されたのがこの新潮文庫版の(四)、(五)。もともとは「サンデー毎日」に連載されていたものだが、この週刊誌での連載も約2年間のブランクがあったそうだ。 そのあたりの事情について作者の山崎豊子(やまさき・とよこ、1924-)は「あとがき」(1978)でこう書いている: 「・・・この小説の判決について、多くの読者の方々から「小説といえども、社会的反響を考えて、作者はもっと社会的責任をもった結末にすべきであった。」という声が寄せられた。」 ネタバレになってしまうが、最初の正編では、財前五郎は教授選に勝ち、医療過誤で訴えられた民事裁判でも勝つのである。しかも、同期で言わば医者・学者・人間として財前と対称的に描かれた里見脩二は財前と対立し、結果として国立浪速大学を去る決心をするところで話は終わっているのだ。超単純化して言えば、悪が勝つところで終わっているのである。 この続編はその意味で、再戦なのである、リベンジなのである。 夫・庸一を財前の誤診によって失った妻佐々木よし江は一審敗訴のあとも正義派弁護士・関口や近畿癌センターに移った里見、財前の前任者で今は退官した東前教授の娘で里見に思慕を寄せる佐枝子などの協力を得て、控訴審を闘う。財前は大学内・医学界での権力・人脈と義父・財前又一の資金・政治力をフルに活用し自己に不利な証言をする可能性のある証人の口をふさぎ、大阪府弁護士連合会会長など大物弁護士を使って応戦する。 それだけでは無い。財前は鵜飼医学部長の政治的野心をきっかけとして、日本学術会議の選挙に立候補し、前編の教授選どころでは無い激しい選挙戦を戦うのである。 それでは、この続編は単なる二の舞なのか?医療過誤裁判と学術会議選挙はどうなるのか?財前の「医者の良心」らしきものはどうなるのか?佐枝子の思いはかなえられるのか? たしかに医学・法律関連の描写は前編より迫力があるような気がするが(取材の成果か)、登場人物の性格や葛藤の描写については前編から一歩も出ていないような気がする。(後退しているところもある。)これが啓蒙的というか、社会派小説の持つそもそもの限界かもしれないが、その限界の中では最高峰に近い作品になっていると思う。 主人公なのにあまり内面が描かれていない財前だが、それだけに読者はいろいろ感情移入(あるいは反発)する余地も出てくるのだとも言える。 うーん、やっぱり私だったら里見先生より財前先生に診てもらいたいなって、そういう奴が悪徳医者をのさばらせてるのか? |