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著者 書名 刊行年 刊行国 出版社

2003100006

吉村萬壱 ハリガネムシ 2003 日本 文藝春秋

評者:発起人    評価:6    読了日:2003/10/14    公開日:2003/10/14

自分の周りの闇の空間へ堕ちて行く快感−気が弱い人は読まないほうがいいでしょう

 

  吉村萬壱(1961-)の芥川賞受賞作。タイトルになっているハリガネムシはカマキリなどに寄生する生きものらしい。語り手の「私」はある日部屋の中でカマキリを捕まえる。そのカマキリを、

「・・・力を込めて指で弾くと頭がちぎれて無くなってしまった。(中略)仕方なく新聞紙で摑んで握り潰すと、尻から真っ黒いハリガネムシが悶え出てきたので仰天した。新聞にペタペタと体を打ちつけながら、女の髪のような光沢を放っている。英語でこの虫をヘアーワームということを思い出し、それが妙に生々しく全身が総毛立った。」(p11)

 うーん、気持ち悪いよね。でもこの小説の気持ち悪さはそれどころでは無いのだ。「私」(中岡慎一)は二十五歳ぐらいの独身男性で仕事は高校教師。学校では倫理を教えている。喫茶店「りーべ」でノートにとにかく字を埋めることが楽しみ。時代は1986〜87年にかけてということになっている。

 だが、一方では深夜のマンションの工事現場で覗きをし、学校の先輩教師で四十歳ぐらいの「柴田女史」に欲情する。リンチ事件を起こして停学処分を受けた受持ちの女子生徒の小学生の弟がテレビゲームをしているのを見て、また道路で前を走る老人が車間距離を開けすぎるということで殺意を感じるのである。

 そんな「私」のもとにソープランドで知り合った「サチコ」が現れる。そして「私」はどんどん「サチコ」が生きている闇の奥底のような世界(ハリガネムシの世界?)に引きずり込まれていく。そこは端的に言って暴力、嗜虐的性欲、無知、意思の欠如が支配する世界であるが、もともと「私」にはそういう欲望があったのだ。「私」は「サチコ」以上にこのハリガネムシの世界にはまり込んでゆくのである。

 私には関係無いよ、と言い切れる人、血まみれの肉体的苦痛の描写がいやな人は読まないほうがいいと思います。

 しかしなあ、これが芥川賞?っていうかこういうのしか芥川賞取れないのかあ?著者は高校教師をへて現在は養護学校勤務だということだが、大丈夫か?はやく何をしてもいい専業作家になって教育の仕事からは足洗いなさいっ!もちろんこの作品はフィクションなのであり、「有らん限りの妄想」(p4)なのではあるが・・・。


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