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著者 書名 刊行年 刊行国 出版社

2003100002

平野啓一郎 日蝕 1998 日本 新潮文庫

評者:発起人    評価:5    読了日:2003/10/07    公開日:2003/10/07

戸惑っているばかりの主人公−読者である私もそうでした

 

  平野啓一郎(1975-)のデビュー作。話題になりましたね。京大法学部の学生が芥川賞受賞ってね。あの石原慎太郎を抜いて最年少での受賞だというわけで 覚えている人も多いと思います。(もちろんその時この作品を読んだ人も多数いらっしゃると思います。)

 さて、世の中の動きから5年遅れてこの小説を読んでみると、うーん、さっぱりわかりません。漢字はやたらと難しい(ルビがふってありますが)し、擬古体のような文体。このタイトルの『日蝕』も蝕の字は正字体です。変換しても出できません。(以下この小説を引用するときは漢字などは普通の漢字を使います。)

 舞台は15世紀後半のフランス。神学を学んでいた「私」がある体験を手記のかたちで残したという形をとっています。(このあたり、微妙な異和感・異物感をもたらす設定ですよね。なんで15世紀フランスの学者がこんな難しい「漢字」を使うんだろう?雰囲気は出せているかもしれませんけど・・・)

 1482年、「私」は当時籍を置いていたパリ大学を離れ、「異教」哲学の文献を捜すため南部のリヨンに赴きます。「私」は「再度(ふたたび)興ったこれらの異教哲学を、主の御名の下に秩序付ける必要を痛切に感じていたのである」(p11)。このあたり、「聖トマス」だとか、「アヴェロエス主義」とか「マルシリオ・フィチイノ」だとかいろいろと出てきますが私(=発起人)にはよくわかりません。

 「私」はリヨンに着いたところで当地の司教から錬金術に興味があるかと尋ねられ、文献を捜しにさらにイタリアのフィレンツェに行く前にリヨンの郊外のある村に立ち寄ることを決めます。あとの小説の大半はその村での「私」の体験を描いたものになっています。

 こうして錬金術師のピエェル・デュファイのもとに通うようになった「私」が体験したこととは?村にある教会の司祭ユスタスは酒浸りで怪しげな女たちを教会に入れています。ジャック・ミカエリスはその教会の前で村人たちに説教を続け、「魔女」を異端審問にかけるために捜し出そうとしています。ピエェルの下働きをしているギョオムとその子で一日中ブランコに乗っている、言葉が喋れない白痴のジャン。こうした人物を配した上でこの村を襲う天災に疾病、奇怪な自然現象!そして謎の両性具有者!ピエェルの秘密は?錬金術は成功するのか?

 あー、でもそれで?という感じですか。芥川賞最年少受賞作品、とにかく読みました!ということで、次に行っていいですか?


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