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著者 書名 刊行年 刊行国 出版社

2003090012

井上史雄 日本語は年速一キロで動く 2003 日本 講談社現代新書

評者:発起人    評価:3    読了日:2003/09/29    公開日:2003/09/29

楽しそうな井上教授の研究にケチをつけるわけじゃないけど・・・。

 

 方言についての本なんですが、結論は書名の通りで、大体平均すると、日本語の伝播は、例外はいっぱいあるけど一キロ/年ぐらいだと・・・。うんうん、それで?「本書では、方言の地理的伝播に着目して、年速についてまとみてみた。」(p214)うん、わかったけど、それが何か??「こんなのを麗々しく提示していいのかという迷いがあるが、思い切って正面に押し出すことにした。」(p215)それじゃあ一行で終わっちゃうじゃないか?「方言研究、ひいてはことばの探求がこれほど面白いということが、伝われば幸いである。」(p217)・・・・。

 というわけで、多分面白い人には徹底的に面白く、興味が無い人やフツー程度の関心がある人にとってはかなり読み通すのに力がいる本になっている。すなわちこれは日本語・方言のマニア本である。

 私がこの本を手に取ったのは「ウザッタイ」とか「ウザイ」、「チガカッタ」あるいは「ミタク」というような著者の言う東京新方言、あるいは「ムカツク」などの関西型新方言がどのようにして全国化したのかというフツーの興味からであった。

 たとえば「ウザッタイ」は、「元は東京都の西部、多摩地方独自の言い方だったが、一九八〇年代から東京山の手の若者に入ってきた。いまは全国に広がり、「ウザイ」という短縮形まで生み出している。」(p17)こうした「言い方は、流行語と違って一時的なものではない。」(p24)何故か?「単純化と明晰化」、すなわち「合理化」のためである。「要するにことばは使いやすい方向に変わるのだ」(p25)

 著者は、「グロットグラム」という手法とコンピュータを使った統計処理でこうした言葉の伝播速度を測定している。そして出てきた結論が書名になっているわけである。

 著者の井上史雄(いのうえ・ふみお、1942-)は東京外大の教授で専門は社会言語学・方言学。著者が学生時代から方言調査のために故郷の山形を中心にフィールド・ワークを行ったときの苦労話など、昆虫収集マニアと共通したようなところを感じさせる本だ。

 でも、井上先生、ちょっと笑いを取ろうとしての寒い冗談が多すぎませんか?(この「寒い」も新方言でしょうか?) 


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