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著者 書名 刊行年 刊行国 出版社

2003090005

清涼院流水 コズミック 流・水 1996 日本 講談社文庫

評者:発起人    評価:7    読了日:2003/09/18    公開日:2003/09/18

さすがに疲れたぞっ!−推理小説界で大論争を巻き起こした(という)清涼院流水のデビュー作

 

 清涼院流水(せいりょういん・りゅうすい、1974年生まれ)のデビュー作。私が読んだ講談社文庫版では、作者が『コズミック 流』→『ジョーカー 清』→『ジョーカー 涼』→『コズミック 水』の順で読むのがベストというお薦めなので、 仰せに従ってやっと、本書を読み終わったのだ。

 古典的推理小説の設定をいちおう踏襲しているように思わせる『ジョーカー』よりこの『コズミック』の発端は衝撃的というか破壊的である。1994年の1月1日午前0時1分、マスコミ各社、警察庁、日本探偵倶楽部(JDC)に「犯罪予告状」がFAXで送られた。「今年、1200個の密室で、1200人が殺される。誰にも止めることはできない。 密室卿」。

 そして、予告通り、さまざまな「密室」で殺人が行われる。被害者はいずれも首を切り落とされ、背中には被害者自身の血で「密室×」(×は漢数字の旧字体で番号)という文字が残されている。昨年の「幻影城殺人事件」(これが『ジョーカー』ですね)でも活躍した日本探偵倶楽部(JDC)の探偵たちと警察庁が推理と捜査を開始する。だが、「密室卿」は着実に、一日3〜4人を殺してゆく。ついには、JDCの探偵や警察庁の捜査陣にも魔の手が及ぶ。世の中は騒然としてくる。

 そんなある日、JDC総代の鴉城蒼司に宛てて『1200年密室伝説』という小説原稿が届く。送ったのは昨年の幻影城殺人事件の関係者でもある作家の濁暑院溜水?小説原稿はほぼ現実の「密室連続殺人事件」そのままの内容を含んでいた!

 はたして「密室卿」の正体は?JDCの精鋭たちは事件を解明できるのか?歴史に秘められた謎とは?

 あー、しかし疲れました。この流水の設定する世界には慣れたとはいえ、これだけの長さの作品を読むとだんだん疲れてくるんですね。わかった、もういいよ!特に「キャラ萌え」というかこの作者の設定している「世界」にどれだけ自分が共感できるかという点でやっぱり私はパス、1作で十分という気がしました。

 もちろんすべての小説は虚構であり虚構であるがゆえに現実を描写できるという言い方は可能でしょうが、問題はやはり作者の世界観がどのようなものかということになります。ミステリジャンキーの見る夢を何度も何度も聞かされているような気がして、わかったそーいう話はもうそーいうオタクのところで話してくれっ!という気になりました。

 「オウム真理教事件」や「阪神大震災」以降、とんでもない出来事が実際に起きるという体験をしてしまった1995年以降、1200の密室殺人というこの作品もあながちリアリティを欠いているようには思えないということはあったのでしょう。しかしこのような小説世界を現実との接点を失った(あるいは希薄な)若者たちが受け入れているとすれば、このような夢が一挙に九十九十九(つくも・じゅうく、「神通理気」で真相を看破する探偵)のようなカリスマをマジで現実の世界でも支持するということにつながっていかないかと恐れるのは考えすぎでしょうか?→うん、考えすぎだね。

 つまり、清涼院流水描くところのこの「犯罪革命」後の世界を好きになれるかどうかです。くだらないっ、と一蹴するか、おもしろいっと思うか。

 私は『ジョーカー』はおもしろいっと思ったが、この『コズミック』ではかなり飽きが来た、えっ?まだあるの?『カーニバル』?という感じですね、結局。でも舞城王太郎にはその名もズバリ『九十九十九』(未読)という作品もあるし、この作家が後に続いた作家たちにも影響を与えているのはたしかなことのようです。 


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