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感想文番号 |
著者 | 書名 | 刊行年 | 刊行国 | 出版社 |
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2003080011 |
天童荒太 | 永遠の仔 | 1999 | 日本 | 幻冬舎 |
評者:発起人 評価:6 読了日:2003/08/23 公開日:2003/08/23
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「いいよ、おまえだけのせいじゃない。」(下)p453
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4年前のベストセラーで第53回日本推理作家協会賞受賞作、「このミス」2000年版国内編第1位という輝ける評価を得た、天童荒太(1960-)のこの 大作(原稿用紙2385枚だそうです!)、読み終わりました。TVドラマにもなっていたんですね、たしか。カバーには宮本輝、山田詠美、村上龍、小池真理子という怱々たる作家たちが、帯には石田ゆり子(女優)、北上次郎(文芸評論家)、松田哲夫(筑摩書房、「王様のブランチ」コメンテーター)、茶木則雄(文芸評論家)が推薦を寄せています。 しかし、私はあんまり感動しませんでした。一言で言うと、「抹香くさい」。「抹香」という言葉を取り除いてもいいか。←おさえて、おさえて!さらに言うと、「小山ゆうの昔の漫画みたい」(「がんばれ元気」とか・・・)ってほとんど意味不明だね。 物語は1997〜98年(便宜的に「現在」と呼ぶ)の東京/神奈川、1979〜80年(同様に「過去」)の愛媛・双海小児総合病院を舞台にした章が交互に登場する。「現在」、神奈川県川崎市多摩桜病院に勤める看護婦の久坂優希、やり手の弁護士として品川に事務所を構える長瀬笙一郎そして神奈川県警捜査第一課の有沢梁平の3人は「過去」に双海小児総合病院の第八病棟(小児精神科)に入院していた。3人は「過去」のある事件の秘密を共有し、強い精神的紐帯で結ばれていたがその事件後、17年間会うことが無かった。 ところが優希の弟、聡志が笙一郎の法律事務所に勤め始め、また笙一郎の母まり子がアルツハイマー病で優希の勤める病院に入院したことから、そして梁平は彼が逮捕した連続幼児猥褻犯の被害者の男の子が同じ病院に入院したことがきっかけとなって、3人は再会する。そして発生する連続殺人事件−。「過去」の事件の真相と「現在」の事件の関わり合いが物語の展開につれて明らかになってゆく。 作者は、この言葉を使っていないが、3人はいずれもいわゆるアダルト・チルドレン(AC。←といっても公共広告機構じゃないよ)、つまり幼少期に親から虐待されたり無視された家庭環境に育った子供たちだった。そしてかれらの親たちもまた同様の環境に育ったのだ。そういう意味で(多分)、この3人の主人公たちは「永遠の仔」であり、大人になってもその傷を負い続けている。 つまり、この3人には救いが無いのである。救いを求めるが、結局はACだから、つまり親の世代からの業のようなものだから、救われない。代々受け継がれてゆくのである。物語の結末もまた悲惨である。 それでは謎解きとしてはどうなのか?うーん、はっきり言ってフェアじゃない。またこの作品ではキーになるはずの何故殺したのかということについての説明が弱く、結局はビョーキのせいにしているように思う。「何故拳銃を持たせたか?」(読んでない人には意味不明だと思いますが)という後味の悪さも残る。 しかもこれだけ長くする必要があったのか?丁寧な描写はいいのだが、途中で中だるみ=事件の進展が停滞することもあり、3人以外の登場人物は平板で、「ありがち」である。 にもかかわらず、この作品への作者の集中力、努力はヒシヒシと伝わってくる。またこの長い作品をとにかく読ませる腕もたしかだと思われるので6点! この作品以降、天童荒太は目立った作品を発表していないようだが、次作にも期待したいと思う。 |