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著者 書名 刊行年 刊行国 出版社

2003080005

石弘之 地球環境報告 1988 日本 岩波新書

評者:発起人    評価:8    読了日:2003/08/14    公開日:2003/08/14

人類は地球経営に失敗しつつあるのか

 

  今から15年前に発行された本書、地球規模での環境の悪化の実態をレポートしたものである。 当時、著者の石弘之(1940年生まれ)は朝日新聞社の編集委員をしていた。 さて、読み終えてまず思ったのは、15年前でもこんなに酷かったんだから今ではどうなってるんだろうということ。

 発展途上国における大規模な生態系の崩壊が「森林の破壊、砂漠化、水や薪の枯渇、災害の激増」をもたらしている。 「飢餓や災害によっていのちを失うか」、「流浪の生活に身を落としてしまう地元民」。 たとえば、アフリカでは「八二〜八五年の最近の干ばつは、三五〇〇万人が餓死線上をさ迷い、三〇〇万人以上が死んだと推定される」(p5)

 都市は「ガン化」している。 メキシコ市では「年間の公害病死者は一〇万人を超え、この内の三万人は子供」(p32) インドのカルカッタでは「約一五〇万人は路上で寝起き」し、「牛フンが唯一の燃料」で、「最大の死因は下痢」(p37)。 農村で土地を奪われた人たちがあるいは農業をやっていけなくなった人たちが都市に集中し、大規模なスラムを生み出す。 「毎年スラムで栄養不足や病気、犯罪の犠牲になって死ぬ人は一八〇〇万人」(p43)。

 インドネシア、ブラジル、エチオピアでは政府による「集団移動」(過密都市から過疎地域への)が進められており、強制的なスラム狩りで入植者を集める場合も多い。 結果は自然破壊と貧困を移動させただけに終わっている。

 タイ北東部、フィリピンでの森林破壊の現状がレポートされている。植林も行われているが「一一ヘクタールの破壊に対して、わずか一ヘクタールの植林」(p103)というペースである。

 土壌が大規模に流出しており、災害は大規模化する。「人類の五人に一人は満足な栄養をとっていない」(p163)という飢餓問題。

 PCB、ダイオキシン、DDT、TBT、アスベスト、鉛、フロンガス。 そして窒素酸化物・硫黄酸化物が原因と思われる酸性雨など人類の活動が生み出した化学物質や重金属などが人体と地球を汚染・破壊しており、先進国から発展途上国への公害の輸出も深刻だ。 農薬の散布による事故、薬害問題も触れられている。(これらがどのような影響をもたらすのかはっきり解明されていないことも多い。) 「情報の公開」がこうした化学物質の対応のためには必要であるが、秘密主義がはびこっている。 「中央官庁でも「漁民保護」とか「無用な混乱を起こさないため」に汚染データを公表しない場合が少なくない」(p228)

 日ごろはほとんど報道されない(というか私が気づかないだけかもしれないが)環境問題の被害が発展途上国に集中していること、状況は非常に深刻であることなどを「先進国」に住む一小市民である私が知ってさてどうするのか? 「割り箸」を使わないで「マイお箸」を持ち歩くか? 「世界不思議発見!」でもちゃんと環境問題をレポートしろよっとスポンサーの日立製作所に圧力をかけるか?(どうやって??) 電気をこまめに消すか? 本は電子本か図書館で借りるようにするか? ボランティアとなってメキシコ市に移り住むか?? (真剣にこの問題に取り組んでいる人たちを揶揄するつもりは無いが)

 こう考えてみると私ができることはそんなに無いように思う。これは環境問題を倫理問題あるいは自己満足の種として捉えようとするからかもしれない。 さて、とりあえずは、この本の続編でも買いにいくかっ。

 あっ、それから学生の皆さんにはおそらく格好のレポート・自由研究用の題材になると思います。


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