|
感想文番号 |
著者 | 書名 | 刊行年 | 刊行国 | 出版社 |
|
2003080001 |
ジェレミー・ドロンフィールド | 飛蝗の農場 | 1998 | イギリス | 創元推理文庫 |
評者:発起人 評価:7 読了日:2003/08/04 公開日:2003/08/04
|
「サイコ・スリラー」の寄せ鍋はいかがっスかぁ?
|
|
発起人の「このミス」ベスト3読破プロジェクトの第一弾!2003年度海外編第1位の栄冠に輝いた、英国作家ジェレミー・ドロンフィールド(1965−)のデビュー作。本国では1998年に刊行されている。 「訳者あとがき」で越前敏弥が、それを「パクったわけでもない」と言いながら「解説」で三橋暁が、それぞれの文章の冒頭に置いているフレーズを別の意味で私も借用させてもらいたい。 −なんだ、これは? いや、このフレーズ(うーん、最近これどこかで見たなと思ったら、本屋で乙一『ZOO』に対して北上次郎が「何なんだ、これは?」という帯コピーを書いていたのだった!)、少し変更させてもらいたい。 −どうなったんだ、これは? つまり、結末がよくわからないまま幕を下ろしてしまうのである。余韻を楽しめというのか、さまざまな解釈が読者に提示されているということなのか、続編を作りやすくしているのか・・・でもこれでは蛇の生殺しだ。 人里はなれた荒野で農場(これが飛蝗−ばった−の農場なんですね)を営むキャロルのところにある嵐の夜、記憶を失ったという自分で言う男−スティーヴン−が入り込んでくる。キャロルはショットガンで男に傷を負わせてしまった負い目もあり、この男の記憶捜しを手伝う気持ちになっていた。近くに住む芸術家の女友達、ロザリンド(ロズ)はキャロルに警告するが、キャロルはスティーヴンとの同居生活(とはいってもスティーヴンは別棟の納屋から離れようとしない)を始める。 物語はこの農場を舞台にしたキャロルとスティーヴンの関係をめぐる部分と、突然そのプロットを断ち切るように挿入される別の男の物語の部分が絡み合って進行し、最後にはひとつになってゆくのだが・・・。 こういう小説の読者にはお馴染みの、幼児期虐待、連続殺人者(シリアル・キラー)、多重人格、警察による捜査などだけではなく、エミリ・ブロンテの『嵐が丘』から、老人の溜まり場のようになった床屋、自動車修理業界、アダルトビデオ業界、英仏海峡フェリー、フランスで芸術家のコミューンを作ろうとする人たちの話などがスティーヴンの記憶捜しをする読者の旅の途上で展開される。 まあ、それぞれおもしろいんだけどね、こうした飾りの要素と本筋がうまく絡み合っていないように感じるのは私だけだろうか?キャロルとスティーヴンとの関係はなんと言うか、読んだことないけど、ハーレクイン・ロマンの世界のようでもあり、あの『ミザリー』(スティーヴン・キング)の置き換えのようでもあり、つまり、おいしそうな具は全部いれました!ごった煮というか寄せ鍋の味ですね。(うまく味が融合しているかどうかは保証できませんが・・・) はい、よくがんばりましたということでいろいろ不満はあるものの、7点! |