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感想文番号 |
著者 | 書名 | 刊行年 | 刊行国 | 出版社 |
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2003070007 |
石田衣良 | 池袋ウエストゲートパーク | 1998 | 日本 | 文春文庫 |
評者:発起人 評価:5 読了日:2003/07/22 公開日:2003/07/22
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祝直木賞!でもこのデビュー作はかなりつらい!
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第129回直木賞を『4TEEN フォーティーン』(未読)という作品で村山由佳『星々の舟』(未読)とともに受賞した石田衣良(いしだ・いら、1960年生まれ)のデビュー作。表題作をはじめ、「エキサイタブルボーイ」、「オアシスの恋人」、「サンシャイン通り内戦(シヴィル・ウォー)」の4作が収められている。 舞台は池袋。語り手の「おれ」=真島誠(マコト)は「去年、地元の工業高校を卒業」(p8)し、「プー」になり、「おふくろがやってる果物屋」を手伝ってこづかい銭を稼ぎながら池袋西口公園=池袋ウエストゲートパークで過ごしている。マコトのまわりにはいつのまにか、「ボーイズ・アンド・ガールズ」(!)が集まってくる。 表題作では、マコトの「ダチ」、ナンパ系の「マサ」(森正弘)、イラストが上手な「シュン」(水野俊司)が「ヒカル」(渋沢光子)、「リカ」(中村理香)の女子高生二人といっしょに遊ぶようになるが、「連続女子高生絞殺未遂事件」(池袋のストラングラー=首絞め魔)が起こり、ストラングラーの最初の犠牲者として「リカ」が死体で発見される。マコトはヒカルが見たというリカが会っていた「センセイ」の似顔絵をシュンに描かせ、池袋の「Gボーイズ」(不良少年少女のグループ)をすべて仕切る知り合いのタカシ(安藤崇)と傘下のグループの協力を求め、犯人探しを始めるが・・・。意外な真犯人と動機は? 他の3作もマコトが仲間たちと、失踪したヤクザの組長の娘を捜索する話、覚醒剤密売ルートを追う話、少年少女グループ間の抗争を終わらせる話など未成年売買春、児童虐待、覚醒剤汚染、不法就労外国人、暴力団の抗争、引きこもり、盗聴・盗撮等々いかにも現代という素材が配されているのだが、同時にこうした事件の解決を通してマコトたちが成長していく物語になっている。最初は「プー」だったマコトは最後には警察署長にまで頼られる「ピースメーカー」にまでなり、苦い味のする恋愛と別れを経験し、クラシック音楽を聴き、本を読み、タウン誌にコラム連載を持つまでになっている。 うーん、でもこのあたり、話がどんどん視線が中年化というか、過去にタイムスリップしていくんだよね。マコトは自分たちの仲間を「あきれたボーイズ」と呼んだり、抗争するグループの親衛隊、「キャンディーズ」の「美人」に「やっぱり、あんたがランちゃんなの?」(p250)と聞いてみたり、おいおいこれが二十歳前のガキが言うことか?「見あげればまぶしい新緑のドーム。」(p274)って、バブル期の「リゾート・マンション」のコピーか? この文庫本の解説で池上冬樹(文芸評論家)も触れているが、私がこの本を読みはじめて思い浮かべたのはまず、アンドリュー・ヴァクス(っていっても『ブルー・ベル』(1988)しか読んだことないけど)、そして明らかにこの文章の区切り方とコピー風の文章(だけ?)がヴォネガットに似ている。 したがって、おそらく、期待を込めて、この5年間に作者は「マコト」以上に速く成長し、真保裕一や東野圭吾を抑えて直木賞を受賞するほどになったのだと思う。 |