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感想文番号 |
著者 | 書名 | 刊行年 | 刊行国 | 出版社 |
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2003060015 |
花村萬月 | ゲルマニウムの夜 王国記 T | 1998 | 日本 | 文春文庫 |
評者:発起人 評価:9 読了日:2003/06/23 公開日:2003/06/24
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暴力の匂いを撒き散らす求道小説
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この作品で芥川賞を受賞した花村萬月は、このような分類は無意味なのかもしれないが、従来はエンターテインメント系の作家だと思われてきた。私が今まで読んだこの作家の作品、『ゴッド・ブレイス物語』(1990)、『笑う山崎』(1994)、『皆月』(1997)、『ぢん・ぢん・ぢん』(1998)も私は「エンタメ」系としていちおう分類してきたのだ。しかし同時に、これら以前に呼んだ作品で共通して感じていたのは、強烈な暴力の匂いである。痛みが皮膚・内臓に実際に感じられるような描写である。これじゃあマゾヒストじゃない限り「エンタメ」にならないよね。この作品でも強烈な暴力描写は健在である・・・というか従来よりパワーアップしているようにも思える。 舞台は東京K市にある修道院兼救護院。人を二人殺し、「十代前半に世話になっていた」「僕」(朧)は院長ドン・セルベラに「手による奉仕」を交換条件に、この施設に戻ってきて農場の仕事をしている。「アスピラント」(尼僧になる修行中)の教子と関係を持ち、「シスター・テレジア」を堕落させようとする。一年先輩の「宇川君」に石を口にほうばらせ、ガムテープで口を塞ぎ、蹴りを入れる・・・。いややめておこう。あらすじを書いても仕方が無い。 作者はあとがきで「宗教を描く長大な作品のごく一部分として書かれ」たと述べている。宗教施設の偽善性と暴力性の暴露・批判というすぐ耳に入りやすい意図とともに、信仰とは何なのか?神とは?というきわめて根源的な問いかけがこの小説からは基調音のように聞こえてくる。強烈な暴力描写とイエス・キリストが十字架で流した血は融合できるのか? 続編も出ているようなので、自分の体調・精神状態をよく見極めて読んでいきたい。カトリック信者の人はこの小説を読んでどう思ったのだろうか?と心配になりました。 |